あの海のむこう

こぼれないこと

リーガルリリーと同じ世界を見たい

 

YouTubeで、ここ最近アップされる日比谷野音のライブ映像を観ていたら、もうリーガルリリーへの好きの気持ちが心の表面張力を突破して、だばだばと溢れてくるので、文字に起こすことにした。

 

わたしがリーガルリリーを知ったのは大学生のとき、昔好きだった人と会っていて、このバンドいいよって教えてもらったんだった(そうだった、そうだった)。ちょうどそのとき、スーパーカーばかり聴いていて、久しぶりにSpotifyの検索欄に新しい言葉を入れた。「the Telephone」あたりまでリリースされていた頃だったと思う。アルバムをただただ聴いてみて、気づいたら頭の中に曲が巡るようになっていた。

いろいろ好きな曲やマイブームになる曲はあるけれど、特に好きな歌たち。

 

①「リッケンバッカー

だいすきでだいすきでたまらない曲。

わたしは勝手に想像する。もし、自分もリーガルリリーと同じようにバンド活動をしていたら。そして、まだメジャーデビューをしておらず、インディーズ界でも鳴かず飛ばずの状況だったら。高校時代、共に多くの思い出を共有していたはずの友達と飲みに行ったら、大学生活を存分に満喫していたり、インターンやESの話ばかりしていたら。自分だったらどうしようもなくなる、音楽がだいすきでバンド活動をしているはずなのに、自分の進んでる道が間違っているのではないかと葛藤し、焦りにかられる。そして、今までは見向きもしていなかった就活アプリをインストールしてみるとか。してしまう。

そんなときに、インディーズばかりが集まるライブに出る。いつもよりは少し大きいライブハウス。ライブハウスの天井には、どこでも同じようなびかびかのミラーボールが光を不安そうに反射させている。

自分の歌を歌い終わって、別の出演者を眺めている。すると、自分と同じくらいの年のショートカットの女の子が歌い出す。

「きみはおんがくを中途半端にやめた。きみはおんがくを中途半端に食べ残す。」

わたしは、そんなことを言われたら、骨の髄まで心のすみずみまで、力尽きてしまう。灰になってしまう。太刀打ちできなくなる、何もかも。おんがくに心から向き合えなかった自分に、おんがくにどこまでも真剣に向き合って作られた歌が刺さって抜けない。

そう想像して聴いている。

 

②「キツネの嫁入り

救急車のサイレンが微かに聞こえて始まる歌。不穏な空気感。でも、人間ならではの怖いものみたさで、金縛りにあったようにずっと聴いてしまう。「僕のママは、君のこと一生許さない。君のママは、僕のこと一生許さない。」歌詞もどこか不気味で、最後に唐突に出てくる「結婚しようよ。そうしよう」という約束も全くハッピーエンドに聞こえず、心惹かれる歌。

 

③「僕のリリー」

生来、失恋というか片思いというかそういう歌を聴きがちなわたしだからこそ、というのもあるかもしれないけれど、この歌もかなり好き。

「家のシケモクを取っておいてもね、君に会えることはないのね。」シケモクというもう灰になっている思い出にすがりついている様子がすき。そして、リーガルリリーならではの不思議で不気味な「茶色くなった手首で 君の匂いがするハイライトを吸っている。「プラネタリウムに行こうぜ!」日々に目眩がする。人殺し、つれだして!」。茶色くなった手首はきっとリストカットの跡、まだ残っている君のタバコ、人殺し。並べてみると、物騒な言葉ばかりだけど、リーガルリリーの歌の中にいると、そうは思えず、心にまとわりついて離れぬ言葉に変わる。

 

わたしは、リーガルリリーが見ている世界を同じように見たくて、歌詞を一文字ずつ指で追ったり、一音ずつ聴いたりしているんだな。不気味で不思議で不穏で、でもどこか安心してしまう世界。11月も12月もライブがあるのが、楽しみです。楽しみな冬が始まる〜。