あの海のむこう

こぼれないこと

憧れのお葬式のプレイリスト

わたしは自分のお葬式を素敵なものにするという目標がある。素敵なもの、というのは、祭壇が豪華絢爛であるとか参列者に偉い人がいるとか会場が特別大きなホールであるとか、そういうことでは断じてない。そもそも、お葬式に小さいも大きいもない。誰がどういう気持ちで来てくれているのか(心を込めて参列してくれているのか)が大切なのだと、今は思っている。

 

陽射しが差し込むあたたかな空間で、自分が本当に見送ってほしい人に心を込めて挨拶しに来てもらって、「ほんとにね‥」なんて、笑いながらも、少しさみしそうに思い出話に花を咲かせてもらうお葬式、考えただけで憧れが募る。サプライズなんかしてもいいかもしれない。棺桶の中からわたしの声が聞こえてくるとか。わたしがいつもつけてる香水が薫ってくるとか。精進落としとして、冷えたお寿司をつまんで、なんだかさみしい気持ちで胸がいっぱいになって、みたいな式も勿論、良いのかもしれない。でも、わたしは自分のお葬式は、あたたかいものとしてみんなの心に余韻として広がってほしいのだ。自分のだいすきなバンドのライブに行った帰り道の電車の中のように。あるいは、都会の小さな映画館で誰も知らない秘密の映画を見た夜の帰り道のように。

 

そんなわたしは「自分のお葬式で流したい曲」たちを頭の片隅で考えながら、日々過ごしている。2024年、20代半ばを迎える現時点でのプレイリストについて、いつかのわたしのためにここに記しておこうと思う。

 

https://open.spotify.com/playlist/1JHN998qIAanqCLmoFJaeV?si=msOALAB9RV6NxXZmZOulIg&dd=1

 

1「ばらの花」-くるり

「ばらの花」のあのイントロがだいすきなので、この歌で式が始まると思うと、言葉にならずとも、ただただ心がぎゅうっと軋む。そのときに「もう君に会えない あんなに近づいたのに遠くなってゆく だけどこんなに胸が痛むのは 何の花に例えられましょう」と流れてきたら、きっとその空間に漂うわたしの概念もしみじみしてしまうね。

 

2「春風」ーくるり

くるりふたつめ。「揺るがない幸せが、ただ欲しいのです」という始まりの歌詞も、なんだか人生の本質という気持ちでラストソングとして良い。あと、職業柄というのもあるけれど、わたしの言葉を誰かがどこかで思い出してくれてると嬉しい。「言葉をひとつひとつ探して、花の名前をひとつ覚えてあなたに教えるんです」。花は必ず毎年咲きます、ですね。「ここで涙が出ないもの、幸せのひとつなんです」別れのときに涙が出ないことさえも、どこかで肯定してくれる歌です。

 

3「リボルバー」 -ハヌマーン

この歌の好きなところは「死んでしまうことはとても恐ろしい 明日を真っ当に生きることの次に恐ろしい」と言い切っていること。暴力的な言葉もあるのだけど、その何にも忖度しない荒削り加減によって、グッと生きる背中を押してくれる。実は、この歌を聴いて、これを人生の終わりに流したいという思いが芽生えたので、お葬式で流したい歌のプレイリストを作りたくなった。そんなきっかけとなった、最初の1曲。そして、これをYouTubeで聴いていたとき(サブスク解禁前)コメント欄で「葬式で流してほしいくらい好きだ」という人を見つけて、同じ気持ちの人がいる‥!と感嘆した思い出。

 

4「死んだら骨」 -SUSHI BOYS

「皆 死んだら骨」というタイトルそのままの歌です。「死んで残せるのは、骨と人に作った自分の記憶」「骨だけになっても、その骨を大切と思ってくれる人が1人でもいればいい」と歌ってくれるのが、なんだかわたしの理想のお葬式論と重なるところがあり、好きな歌です。

 

5「完熟宣言」-シャムキャッツ

ハヌマーン、スシボと少し強めの曲が続いた後に、どこか懐かしさを覚えるイントロが流れてくる、言わずと知れたシャムキャッツの名曲。縁や出会いを大切にしていたとしても、ラストに挨拶ができない人たちもいる、だからこそ、「ここに何か付け足すならば、はぐれた仲間の声をステージに運んでちょうだい」という歌詞が最高です。シャムキャッツの曲のように、明るく前向きに完熟宣言をして終わりたいものです。

 

6「グッバイ来世でまた会おう」 -インナージャーニー

これほどお葬式ソングとしてぴったりな曲ある?と思ってしまうくらい、素敵なラストソング。さみしくなったり心配したりする必要はない、だって「グッバイ来世でまた会おう、君に会いに戻ってくるよ」。そして「時が経ってボロボロになっても、ただ年を取っただけで、いつもあの頃のまま」なんだから。

 

7「ケルベロス」 -相対性理論

2020年から、Spotifyの年間よく聴いたアーティストトップ5に必ず入ってる相対性理論の曲をアイデンティティとしても、ひとつはかけたいものです。どれもキャッチーで可愛い曲でほんとうに相対性理論への愛がぎゅーっとなってしまう曲ばかり。その中でも、ケルベロスは「輪廻 それは輪廻 君と輪廻転生したい」って歌詞が出てきて、ちょっとlast funeralぽいかなって思って選びました。

 

8「大丈夫」 -クリープハイプ

大丈夫じゃないときに、自分を大丈夫にさせる曲のひとつ。何度も何度もこの曲の「大丈夫さ」に救われた。特に「大丈夫、誰かに騙されても、あたしずっとずっとずっと信じててあげるから」というフレーズに心を掴まれたことは来世も持っておきたい事実です。

 

9「忘れないで 忘れないで」 -サンボマスター

「忘れないで キミがこの世からいなくならないでとぼくが祈ってること」「離さないで たとえこの身が滅んでもかまわない キミへの想いを残すのさ」って、お葬式で流れたら素敵、ただそれだけ。

 

10「漂流教室」 -YUKI銀杏BOYZカバー)

銀杏BOYZももちろん好きだけれど、この曲はYUKIのカバーで出会ってときめいたので、YUKIバージョンで。始まりの「告別式では泣かなかったんだ」は「泣かないこと」イコール「偲ぶ気持ちが足りない」にはならないことに気づかせてくれた、グッとくるフレーズです。そして、本当に本当にだいすきな「今まで出会えた全ての人々に、もう一度いつか会えたら、どんなに素敵なことだろう」という言葉。そう思える素敵な人間たちと生きている間に会いたいし、わたし自身も出会えた人たちに、そう思って生きていってほしいな、と定期的に思ってしまう、人生でも大事にしているフレーズ。

 

 

わたしは自分のお葬式を素敵なものにする、ということがわたしの人生の大きな目標である。だから、今ちゃんと、一生懸命生きようって日々思うことができる。自分のお葬式、のことを考えるのは、全く後ろ向きな話ではない。むしろ前向きに、素敵なお葬式にするために、周りの大事な人を大事にして生きようって思えるんだ。いつか、このプレイリストが流れる式が明るく開かれますように。

リーガルリリーと同じ世界を見たい

 

YouTubeで、ここ最近アップされる日比谷野音のライブ映像を観ていたら、もうリーガルリリーへの好きの気持ちが心の表面張力を突破して、だばだばと溢れてくるので、文字に起こすことにした。

 

わたしがリーガルリリーを知ったのは大学生のとき、昔好きだった人と会っていて、このバンドいいよって教えてもらったんだった(そうだった、そうだった)。ちょうどそのとき、スーパーカーばかり聴いていて、久しぶりにSpotifyの検索欄に新しい言葉を入れた。「the Telephone」あたりまでリリースされていた頃だったと思う。アルバムをただただ聴いてみて、気づいたら頭の中に曲が巡るようになっていた。

いろいろ好きな曲やマイブームになる曲はあるけれど、特に好きな歌たち。

 

①「リッケンバッカー

だいすきでだいすきでたまらない曲。

わたしは勝手に想像する。もし、自分もリーガルリリーと同じようにバンド活動をしていたら。そして、まだメジャーデビューをしておらず、インディーズ界でも鳴かず飛ばずの状況だったら。高校時代、共に多くの思い出を共有していたはずの友達と飲みに行ったら、大学生活を存分に満喫していたり、インターンやESの話ばかりしていたら。自分だったらどうしようもなくなる、音楽がだいすきでバンド活動をしているはずなのに、自分の進んでる道が間違っているのではないかと葛藤し、焦りにかられる。そして、今までは見向きもしていなかった就活アプリをインストールしてみるとか。してしまう。

そんなときに、インディーズばかりが集まるライブに出る。いつもよりは少し大きいライブハウス。ライブハウスの天井には、どこでも同じようなびかびかのミラーボールが光を不安そうに反射させている。

自分の歌を歌い終わって、別の出演者を眺めている。すると、自分と同じくらいの年のショートカットの女の子が歌い出す。

「きみはおんがくを中途半端にやめた。きみはおんがくを中途半端に食べ残す。」

わたしは、そんなことを言われたら、骨の髄まで心のすみずみまで、力尽きてしまう。灰になってしまう。太刀打ちできなくなる、何もかも。おんがくに心から向き合えなかった自分に、おんがくにどこまでも真剣に向き合って作られた歌が刺さって抜けない。

そう想像して聴いている。

 

②「キツネの嫁入り

救急車のサイレンが微かに聞こえて始まる歌。不穏な空気感。でも、人間ならではの怖いものみたさで、金縛りにあったようにずっと聴いてしまう。「僕のママは、君のこと一生許さない。君のママは、僕のこと一生許さない。」歌詞もどこか不気味で、最後に唐突に出てくる「結婚しようよ。そうしよう」という約束も全くハッピーエンドに聞こえず、心惹かれる歌。

 

③「僕のリリー」

生来、失恋というか片思いというかそういう歌を聴きがちなわたしだからこそ、というのもあるかもしれないけれど、この歌もかなり好き。

「家のシケモクを取っておいてもね、君に会えることはないのね。」シケモクというもう灰になっている思い出にすがりついている様子がすき。そして、リーガルリリーならではの不思議で不気味な「茶色くなった手首で 君の匂いがするハイライトを吸っている。「プラネタリウムに行こうぜ!」日々に目眩がする。人殺し、つれだして!」。茶色くなった手首はきっとリストカットの跡、まだ残っている君のタバコ、人殺し。並べてみると、物騒な言葉ばかりだけど、リーガルリリーの歌の中にいると、そうは思えず、心にまとわりついて離れぬ言葉に変わる。

 

わたしは、リーガルリリーが見ている世界を同じように見たくて、歌詞を一文字ずつ指で追ったり、一音ずつ聴いたりしているんだな。不気味で不思議で不穏で、でもどこか安心してしまう世界。11月も12月もライブがあるのが、楽しみです。楽しみな冬が始まる〜。

 

3,589分の大森靖子の好きな歌詞集め

 

気づいたら2020も年の瀬を迎えている。

すっかりペラペラになった年賀状に輪ゴムをつける必要もないな、って思ってポストに投函したり。寒い寒いってコートの襟を合わせてたら、白い息がマスクから漏れたり。

 

そんなこんなで12月を過ごしていたら、Spotifyが2020のまとめとして「再生数の多かった曲TOP100」と「再生数が多かったアーティストTOP5」をストーリーにまとめてくれていた(すごく楽しかったありがとう)。

 

再生数の多いアーティストは、今年はそうじゃなかったら逆に誰!ってなるくらい納得の超歌手が1位だったね、ザッツ「大森靖子」。アイノウだよ!期待通りの結果に唸る。再生した時間は総計3,589分。そうやって数字にされるとなんか脅威だよね、そんなに聴いてたんだな、わたし‥‥(遠い目)でも、2.5日ずっと聴き続けてるのと同じくらいらしい、そう聞くとあんまり長く感じないかも。

 

そして!いずれにしても、色々あった2020年。その1年を通してずっと聴き惚れてしまった靖子ちゃんの曲。どこが好きだったかって、それはやっぱり数々の歌詞。私はそこに、心を掴まれて惹かれ倒していたのだと思う。だから、今日はちゃんとここにその言葉の粒たちを残しておこうと思います。

以下、わたしが好きな大森靖子(靖子ちゃん)の歌詞を集めてみました。どこかの誰かとかに伝わらなくても別にいいから、これを見た未来のわたしが2020のわたしの感情を思い出してくれたらいいな。

 

 

「そのひとつのミスで全てを否定されても 怯むな」

 靖子ちゃんの曲でいちばん聴いていちばん好きなのが『非国民的ヒーロー』、本当に再生しすぎてごめんってくらい、めちゃめちゃに聴き倒した。2020年は採用試験や実習があったりして、気合入れて頑張らなきゃいけない!逃げられない!みたいな場面が多くて。そのときに心にぐいぐい刺さったのだな。

 上に挙げたのは救われた歌詞のひとつで、この歌にはほかにも好きなフレーズがどっさり。「君を太陽にして無理矢理起きてる」「いいよね君はまつげも長いし」「どっちもハズレの『どーっちだ』みたいだ」。誰かを浮かべて起きるときあるし、まつげが長いだけで人生上手くいくじゃん!って誰かに対して本気で思うときある。そして、『どーっちだ』で比喩ができるのがギュン、そういう日常の人とのやりとりが埋め込まれてるのいいよね。

 

Suicaのチャージは1000円だけでいいから」

 これも好きな歌詞のひとつ、『ロックンロールパラダイス』。2020年のわたしは、バイトを3つ掛け持ちして月から日まで朝から晩まで、けっこう駆けずり回っていたのだけど、その姿を知ってる友だちやバイト先の店長なんかに言われるんだよね、「そんなにバイトしてるんだからお金いっぱいあるでしょ」。でも、そんなとき、わたしは “Suicaにチャージするときは、いっつも1000円だよ。”って心の中で唱えてました。Suicaのチャージは1000円だよね。

 

「きらいきらいきらきらきらきらい」

 『エンドレスダンス』、この歌を聴いてわたしは嫌いという気持ちもきらきらに変わるのだと知った。嫌いとかってネガティブな言葉だから、あんまり言わないようにしてたんだけど、口に出してたらきらきらと素敵な語感になるんだなあって。エンドレスダンスは、ほかにも「生きるって超せつなかった」も心にぐさり、「きのうのこと もうおぼえていないふり」「きみのこと 知らないよ」「宅配便届くから帰るね」も人との距離の置き方として好き。

 

「一目惚れなんて 初恋の人に似てただけでしょう?」

 これは真理、一目惚れは初恋の人に似てただけ説。なんかこれを聴いてから一目惚れってあんまり信じられなくなったな、他人に対しても、自分に対しても。『劇的JOY!ビフォーアフター』。

 

「思い切ってカラオケで リアルに聴いてる曲入れた」

 って枕詞に来て、靖子ちゃんは「引かれるかも、でもそろそろ知ってほしい、ほんとうは…」と続ける。なんか分かっちゃうよね、この気持ち。時間と距離感との頃合いを図りながら、きっと相手はこの歌知らないんだろうなあと思いながら、自分が本当に好きな曲入れちゃうときある。前にもあったな、大学の友だちとカラオケに2人で行ったときに何の脈絡も無く『絶対彼女』を歌って、そしたら、後で最近聴いてるよって言われたの。あれは、ギュンと嬉しかったな。

 あと、「あれは君のお気に入り わたしも好きだけど言えない」って気持ちにもわかるー!ってなってしまった、なんでだろうか。独占欲かな。「幸せのイメージは捉えた瞬間 過去になる」って言葉も、失くしてから気づく幸せって、ほんとうに人生にいくつも出てくるよね。

 『みっくしゅじゅーちゅ』はイントロもだいすき、夏ぽくってキラキラしてるのに爽やかで。MVの黒宮れいちゃんも理想の制服の着こなしベストオブすぎて胸にぐさぐさ刺さるし、コメント欄に綴られた黒宮れいちゃんへの思いがぎゅんぎゅん溢れているのを読むのも好き。MVがほんとっに圧倒的黒宮れい

 

「この夏何匹蚊を殺したかなんて聞いてどーすんの?」

 天才〜〜な歌詞です。わかんない、わたしの解釈並びにわたしの想像の範疇を超えない話だけど、どうしようもない会話してるときってある。しかも仲良しな友だちとのくだらない会話とかじゃなくて、生産性皆無というか、ただ場をつなげるためだけの会話。そこで話されてそうだなって思った、蚊何匹殺した?とかって。こんな会話続くようだったら、今日のわたしはだめだめだし、『デートはやめよう』って思うよね、相手のためにも自分のためにも。

 

「未来 featuring 私 ヴァージョン 君の人生最高のお知らせ」

  featuringの使い方が逸脱、『YABATAN伝説』とか「~のお知らせ」とか大衆言葉みたいな流行語を上手に昇華させているのを見るのがすき。私がいれば最高になる、って自身満々で生意気なところがたくさん垣間見られて、こんな女の子いいよね。

 

「さよならなんて口癖よ そばにいて」

  ”さよなら”という言葉が廃れてきているという朝のニュースを思い出したな。さよなら、って言うのはただ口を滑らせて言っちゃっただけだよね。本当はそう思ってないのに言っちゃって、ああ~って『絶対絶望絶好調』な帰り道の日はいつまでもあるのかな。

 

「愛してるからできることなんて そんなに多くはないのよ」

 「~のよ」っていうのが可愛いよね。『きゅるきゅる』はMVもかっこいい~。きゅるきゅるしてくれたじゃない、ってきゅるきゅるを擬態語にしたのが最高。そして、できることなんてそんなにないからこそ一つ一つを大切にしよう、って思えたのよ。 

 

「どんなシャンプー使っても ああ あの娘になれない」

 これは世界観が全部好きな歌。学生時代にこの歌を知って聴いている誰かに出会いたかったな、まあ自分でもこの歌聴いてるよって言わなかったと思うけど。ぐしゃぐしゃのイアフォンで自分だけの歌を聴いて、自分の世界を作り出して『コミュニケイション・バリア』したことあるな。今でも。

 

「君の気持ちはSNS ときに顔文字なくてSOS」

 言わずもがな道重さんへの想いを歌にした、ラブソング。全部の歌詞に意味があって心が込められていて好きだけど、ここがいちばんグッと来たところ。これぞまさしくアイドルとファンの関係性~って思った。そういえば、最近になってやっと「ワンダフルワールドエンド」を観ました、橋本愛ちゃんが夜の公園で『ミッドナイト清純異性交遊』を口ずさみながらぐるぐる歩いてるシーンが1番好きだったな。靖子ちゃんの歌を歌うしかないときの気持ちが分かるから、こそ。

 

「ディスったやつの家に薔薇の花束を毎日贈るの」

女、、、女の子の心にぐるぐる渦巻いてる気持ち、甘さやしたたかさや嫉妬なんかを描写するのがどうしたって上手。もちろん、そこだけが魅力という訳じゃなく、他にもたくさんあるけど!ディスったやつの家には薔薇の花束精神だね。『絶対彼女』のコメント欄でこれを聴いて就活の面接に臨んだ、というのがあっていいね最高、、!となった。

 

「どうせ僕のこと BABY 女友達に話さないでしょ」

 これはリアル感が凄い、やっぱり好きな人じゃなくても気になる人ができたりすると、仲良しな友達には逐一報告しちゃう(中学生のときから変わってないんだな)。逆にホウレンソウしてなかったら、そんなに自分の中でも大きい存在じゃないんだなって改めて気づくときさえある。あと、男友達からこのセリフを聞いたこともある。それくらいリアルだった、『VOID』。

 

 

ここからはZOCの歌詞編。色々あるけど、毎回新曲が出る度に、ZOCのダンスや衣装、MVの世界観も観るの好き。メイク中とかよく観て過ごしてる!来る2月の武道館も楽しみだな。

 

「君が君であるディテールのひとつに 私が立ってられたらそれはなんという…!」

 ○○っていうグループの○○って子が好き、みたいにそのアイドルを好きっていうのが自分のアイデンティティのひとつを構成してるのが最高だと思うんですが、それをアイドル側が肯定して歌ってくれるなんて、、天才、、!となった歌詞。『チュープリ』はメロメロ可愛いソングってだけじゃない。アイドルから見たアイドルとして生きるとは、みたいなところをアイドルが歌っているのが最高です。

 

「このトキメキを守らなきゃ」

 ここから続くそれぞれのソロパートがグッと来る。前にどこかで、歌割りには意味があると言ってたけど、まさにそれ。そこに気づいてから『SHINEMAGIC』を好きになりました。

 

「性格直せって 性格は認めるものよ」

 番外編1、巫まろちゃんのソロ曲がだいすきなんです。まろちゃんの声、考え、顔、スタイル、笑い方、髪型(つまり全部やん)が好きというのもあるけど。この歌詞に痺れて感銘を受けて、ほんとにその通り!だと自分の考え方も変わった。人それぞれに星を持っていて、多様性の時代を生きているんだから、まずは認めて受け入れるべきだよね。実は、この歌詞は就活の面接でもこっそり引用したりしていた2020秋でした。ありがとう、まろちゃんも靖子ちゃんも!『まろまろ浄土』の音源化を切に願ってます。

 

「まあ落ち着いて?誰否定しても自分の幸せ アガんないから」

 番外編2、2021年に出したシングルから抜粋!年明けて1月中いちばん聴いてたのが『AGE OF ZOC』。ZOCは炎上上等を掲げているように何かと騒がれることが多かったり、誰であっても世の中的にすぐギャーギャーなってるみたいなことが頻発したりしてるけど、「まあ落ち着いて?誰否定しても自分の幸せアガんないから」なんだよね、本当に。心に沁みます。

 MVでにっちやんが「すこだよ、みんなすこー!」とくしゃくしゃに笑ってるところも満点だし、まろちゃんが「かわいいねで「がんばれます♡」」ってきゅるって顔するのも好き。かわいいねの方じゃなくて「がんばれます♡」の方に「」がついいてるのもハッとした。みんなの髪色も衣装も、背負ってきた背景も全部がバラバラで「一億二千万の多様性が美しいだろ!」を体現してて、は~ZOCitself、、!となった。スピード感あって、パッと聞けばメジャーデビューっぽい音楽なんだけど、よく聴けば歌詞がぐさぐさ刺さるのです、、好き。

 

 

何はともあれ、3,589分の靖子ちゃんの音楽たち!ありがとう。2020、みんながいたから走り抜けられました。というか、新年を迎えられました。本当は7月に行く予定だった靖子ちゃんのライブ、コロナで延期になってさみしかったな、、!武道館に行けるのが楽しみ、これからもお世話になります。2020年もありがとう、2021年も。

 

 

 

 

 

『キムチ』あるゆえの、アルバイト日記①

 

 

わたしがBASIさんを知ったのは、毎週火曜の深夜に放送されている「Creepy Nutsオールナイトニッポン0」のおかげだ。HIPHOPな2人がパーソナリティを務めていることだけあって、この番組ではそういう音楽がかかることが多く、そっから新しい曲に出会うこともしばしばだ。(最近では神門さんの『夫婦』がめちゃくちゃ知れてよかったソング。)OPトークの終わりに1曲、後半の「R-指定の日本語ラップ紹介」コーナー内でR‐指定の解説付きでもう1曲が流れる。

この前はOPで『ヤーマン』*1がかかって、リスナー全員の耳に残りしばらくそれで盛り上がってて楽しかった、ね。てんやーマン!ミクチャ―マン!とか言ってたな。

 

私は、3つのバイトを掛け持ちしていて、もちろんだけど、それぞれ異なるベクトルの楽しさが存在する。ザッツ・バイト充。唯一の飲食店アルバイトは韓国料理屋さんで、オーナーも優しくて賄いも絶品だった。面接時やアルバイト始めたてくらいは、韓国料理で何が好きなの?と尋ねられても、よく分からず「ヤンニョムチキンですかね」なんて答えていたけど(もちろんチキンも文句無く美味しい)今なら確実にこう答える。「キムチチゲ。」今だって食べたくなる味、そしてふと思い出しちゃう味。

 

アルバイトを始めて半月くらい経ったある日のこと。賄いの時間に「キムチチゲまだ食べたことないでしょ?食べてみる?」とオーナーから言われて、「じゃあお願いします」なんて軽く返事をした。運ばれてきたトレーの上には、ぐつぐつと音がする小さめの土鍋と白いごはん。ほのかにくすぐる匂いだけで、ななな‥美味しそう。

少し年季がはいった土鍋の蓋はまだぴりりと熱くて、添えてあった赤色のギンガムチェックの鍋つかみで、そうっと開けた。途端にふわあっとたちこめた香り。唐辛子とにんにくといろいろ合わさった辛い湯気。でもどこか優しい感じがする。丸い鍋枠の真ん中には緑のニラがささっとのっていて、角が少し崩れた四角い豆腐や豚肉のはしっこや、しめじの頭がのぞいている。赤いスープはまだまだ熱そうでスプーンですすると、辛みと酸味と旨味を続けて感じた。キムチチゲと空間が飽和しそうなくらい、

美味しい、、。

それから新メニューのおひろめ賄いのとき以外は、毎回キムチチゲをいただくようになった。「またキムチチゲ食べるの!」なんてからかわられたときもあるけれど、何度食べても美味しいのだ。キムチチゲをスプーンでひとくちすくって、続けざまに白いごはんを口に入れる時間が幸せだった。冷たい韓国産の梨ジュース(梨の果実の粒々が入っていて甘くて美味しい)をセットにすると、もっとおいしい。早くバイトの日にならないかな、とバイト帰りに自転車をこぎながら恋しくなるくらいだった。

 

そんなキムチチゲに染められたわたしはBASIさんの歌のなかで、もれなく『キムチ』がいちばんすきになった。

youtu.be

 

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おそらく恋人であろう2人が、雨上がりに買いものをして手をつなぎながら部屋に帰って、それからいっしょに夜ごはんのキムチ鍋を料理するはなし。なんて素敵な日常の切り取り方!キムチチゲ好きからしたらなおさら、ぎゅんとなった。キムチ鍋がぐつぐつ出来上がっていく狭間で、BASIさんならではの優しい目線で日々の幸せや愛なんかが、その熱々の鍋の中に込められていく。ことばの粒がたちこめていく。

辛さも旨味もあったかさも愛も、しゅるしゅると渦を巻きながらつまったキムチ鍋!最高に幸せな食べもの。梨ジュースで乾杯。この歌のおかげでよりいっそうキムチチゲ好きに拍車がかかったのだった。以下、『キムチ』の素敵な歌詞たち。

 

雨が上がった午後に光が寄って来た歩道に

夕飯の食材を求めて右手には左手共に

野菜と肉18とキムチ鍋の素っつー感じ

 

台所でニラを切りましょう

シミだらけのエプロン身にまとう

オレは辛さの確認に夢中

湯気が立つ甘口の小宇宙

 

万が一片方が壊れてくすんでももう片方が色付ける

あたため合って高め合っては

また冷めたキムチ鍋に火をつけるよ

 

 

こっそり謝辞。

美味しい熱々のキムチチゲを「どうぞ〜」って何度も作ってくれて、キムチ鍋との日常を歌ってくれて、感謝。これからもいただきます。そして、聴きます。

ふたつがうまく合わさって、バイトソングのひとつとなりました。

ビバ甘口の小宇宙、キムチチゲ

 

 

*1:HIBIKILLA-ヤーマン

空気階段の踊り場でずっと

 

3月の終わりから4月そして5月と、自粛生活が続いた。毎日家。iPhone歩数計に感情があったら「一体全体、わたしの意味がないじゃないですか」なんて叱られるくらい(そんなこと言い出される日も遠くないだろうな)歩数計の記録も散々だった。

 こんなにも休みが続くなんて。学校もバイト先もどうしたって開かなかった。そんな前代未聞のなかで、わたしがいちばん触れたのはこれだ。!

空気階段の踊り場。

ずっと聴いていた。朝起きてラジオクラウドを開いて、#1から順番に追ってく生活。生活の中の踊り場のようで、踊り場の中で生活してたみたいな感じ。

 

空気階段は鈴木もぐらと水川かたまりの若手芸人のコンビだ。そんなふたりの生すぎるドキュメンタリーラジオ。熱い。

鈴木もぐら、って検索するとクズとか借金とか別居とかって言葉が並ぶんじゃないかな。それだけの言葉じゃ表せないくらい、もぐらの人生は山あり谷あり波乱万丈だ。名字も4つくらい持ってるし、中国の窃盗団に家を荒らされてるし、峯田さんと仲良さそうだし、白い歩く球体を見てるし、禁煙してたのにゴルゴ13の美味しそうに煙草吸ってるシーンを読んで喫煙しちゃう。でも、そんな様々なことをもぐらは、大きな声でえらそうぶってあまり話さない。さも起こりそうなことのように話す。それが聴いてて面白いし、しみじみしちゃう。何度出てきたか分からないもぐらファミリー、みーちゃんとお母さんとよく喧嘩してて笑っちゃうけど、たまにその家族の感じにほろっと来てしまう。

水川かたまりは、見た目はサイコパスっぽいからラジオ聴くとイメージ変わるってよく言われるらしい。「かたまり顔新規」*1って言葉が出てきたときもあったな。有名大学入学したけど、合コンで「ジャガイモ星人」とからかわれてすぐ帰った人。その後、大学中退して引きこもりも経てお笑い芸人の道に進む。そして、ちゃんと時間通り間に合ってるのに、寝坊して遅刻ばかりするもぐらの代わりに叱られてる。そんなことが続くと、怒りが溜まって爆発して、たまにふたりのヒートアップした言い争いが流れる回がある。こんなに、間近で他の人の言い合いに耳を傾けることないからなんか新鮮だった。あと、かたまりの笑い声がわたしはすき。もぐらの話の隙間や録音された音声が終わってブースに戻ってきたときに、必ず聴こえる。号泣プロポーズの有名さからもわかるような、泣いてるときも多いけど。バイトトークも好きだった。

 

 

ここからは特におすすめ、というかわたしが好きな回リスト。

  • #20 破茶滅茶にふたりが言い争って、真剣に喧嘩してる回。大人になってこんなに喧嘩することあるのかな、最近色々あって特に感じるけど、芸人のコンビってやっぱり唯一無二の関係だよね。
  • #50 もぐらの存在に救われるときってあるよね、ってしみじみした回。
  • #71 もぐらヒストリーはどこを切り取ってもほんとに面白い。
  • #79 言わずもがな、号泣プロポーズ回。アフタートーク、後日談(#80)含めて逸脱。こんなに人前で大人になっても泣いていいんだ、ってなんかハッとしたな。Superflyの使い方も百点すぎる〜。
  • #84 また白熱した言い争いしてるふたり。もはやディスカッション。
  • #94 もぐらの足が臭い問題で、テレビ出演のときにいつもと立ち位置変えてたの笑った。後半、こんなに詳しく都営住宅の仕組みを聴けるラジオある?都営住宅は、もぐらのおかげで詳しくなれたことのひとつ。
  • #103 もぐらと峯田さんの出会いや数々のエピソードの重みやパワーが強すぎる〜。駆け抜けてもぐら!
  • #115 3日間お風呂に入ってなくて髪テカテカで登場したもぐらがお風呂に入る時間がなかったのは、大江戸線で6時間パックの昼寝をしてたから!!乗車時間が長いと、乗車料金も通常より値上がりするのは初耳。またもぐらのおかげで新たな知識が増えた。
  • #136 女子高生に電話にする回、って言ったらそれまでだけど、青春のカウンターをばしっと受けたふたりが校舎の懐かしさについてしみじみ語るアフタートークもよかったな。電話先の子が学校にいたこともあって、より良かった。学生時代を振り返って「介入された」*2に落ち着くのも面白い。
  • #142 いわゆるラジオマジシャン回(他ラジオの言葉を拝借)*3。あれ、なんか違和感‥とは思ったけど、まあこういうときもあるのかって落とし込んでたから、ネタバラシのときにふつうに驚いちゃった。
  • #145 バイトトーーク!かたまりがバイトを辞めて、芸人一本で生活してるのを見て羨ましがってるもぐら。からのもぐらヒストリー開店、ボラ爺と鎌爺の話!なんでこんなに面白いんだろう。
  • #146 もぐらの 口からしょっちゅう血が出ることについて話すふたり。蒸しパンに赤いのがついてて「あれ、ジャムかな?」と思ったら血で悔しがるもぐら。歯を磨く音声(もはやASMR)を聴いたのも初めてだ。
  • #149 泊まりもぐら回。かたまりを隠れて追いかけて結局3回とも失敗していたのが、まず面白かった。色々立て込んでる加賀くん(かが屋)の家に上がり込むことに落ち着いて、加賀くんの身の上を深掘りするもぐらがさすがだった。そして、それを聴いて泣き出したかたまりもさすが。
  • #153 踊り場アワード2019、準メンバー岡野さんも登場。ああこれこれ、ってなれるからこういう振り返り回はどのラジオでも楽しいよね。
  • #159AT 電話で、自己紹介をするときのギャグをリスナーに授ける回。
  • #159 ついに保険証を手にしたもぐらが勇ましく歯医者へ。保険証の価値をこんなに新鮮に話してる人を見たことない。
  • #171 飲み会とか遊んでるときとかに、なんか帰りたいなと思ったら本当にすぐに帰る人、本人からすぐ帰ったエピソードを聴くコーナーがすきだったから終わるのがさみしかった!そして自分だけ黒マスクだったから学校から帰っちゃったエピソードわかる。謎の竹内力RIKI ver.の「LOVEマシーン」がすっごくおもしろかった!

 

まだまだ、もぐら母の話とかもぐら将棋部の話とか煙草の行くあての話とか‥すきなトークがたくさん!キリがない~。楽しいラジオすぎ。

最後に、もぐら引越しおめでとう!もぐらの都営住宅奮闘記も別居話(表裏一体で実家話)もずっと聴いてたから、ほんとうに心からおめでとうだ!最後の実家エピのメロンの葛藤もよかったな〜

 

*1:テレビ出演によってかたまりについた顔ファンの総称

*2:不自然すぎる過去は、未来の誰かが「介入」して結果を変えたからという考え

*3:高橋みなみ朝井リョウ ヨブンのことーニッポン放送